静物画の巨匠ジャン・シメオン・シャルダン

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日常の美しさと静物画の巨匠、最近高い評価で作品が高値で売れているフランス画家。

ジャン・シメオン・シャルダン（Jean-Baptiste Siméon Chardin, 1699年11月2日 – 1779年12月6日）は、18世紀最も独創的な作品を描いたフランスを代表する画家の一人である。シャルダンの活動時期は、ルイ15世の在位期間（1715年から1774年）と重なり、当時のフランス美術界は、ロココと呼ばれる、楽天的でユーモラス、そして優雅で装飾的な様式が主流を占めていた。貴族たちは輝くシルクドレスと繊細なレース装飾、神話の中の官能的なヌード画を殆どの画家たちが描いていたこの時期にシャルダンの作品は、日常の静かな場面や静物画を題材とし、その写実的な描写と穏やかな雰囲気が特徴だった。

家具職人の息子としてパリで生まれたシャルダンも始めは歴史画の授業を受けた。シャルダンに絵を教えたピエール=ジャック・カゼス（Pierre-Jacques Cazes)、ノエル＝ニコラ・コワペル（Noël-Nicolas Coypel）二人とも歴史画家だった。当時の美術界は、アカデミーを中心に絵画には序列があり、その序列によって画家の地位や収入が大きく左右されていた。最も高い地位にあったのは「歴史画」で、歴史画は、神話や聖書、歴史上の英雄などを題材とした絵画で、画家としての名誉や収入も最高位だった。次に位置するのが「肖像画」で、肖像画は、王侯貴族など、権力者の肖像を描いた絵画で、歴史画に次ぐ高い地位に位置づけられていた。「風俗画（ジャンル画）」は、一般の人々の日常生活を描いた絵画で、歴史画や肖像画に比べると、地位は低かった。「動物画」は、動物を描いた絵画で、風俗画よりもさらに下位に位置づけられていた。「風景画」は、風景を描いた絵画で、動物画と同程度か、さらに低い地位だった。最も低い地位にあったのは「静物画」で、静物画は、花や果物、日用品などの静物を描いた絵画だった。

シャルダンは1724年ごろから静物に集中して描いたことに見られるが、一番認められなかった静物画を描いた理由については分かってないが、他の画家たちに比べシャルダンの絵は一般的なレベルだったからと推測される。即ち、ロココ絵画の中の人物の表情、動作、服の動きや雰囲気などの全てが絶え間ない動きの中にあったが、シャルダンはこのような動きを描くのが苦手だったとされる。

シャルダンの魅力

日常の美しさ: シャルダンは、華やかで派手な場面ではなく、台所で料理をする女性や子供たちが遊ぶ様子など、ごく普通の日常生活を題材にした。その中でも、光と影の巧みな使い分けや、素材の質感の表現が見事で、日常の中に美を見出すことを教えてくれる。

静物画の巨匠: 静物画においても卓越した才能を発揮し、果物、花、食器など、身の回りのものを静かに、そして美しく描き出した。彼の静物画は、単なる写実を超えて、それぞれの物に宿る生命を感じさせる。穏やかな雰囲気: シャルダンの作品からは、穏やかで落ち着いた雰囲気が漂う。彼の絵画は、鑑賞者に安らぎを与え、忙しい日々の中で心を穏やかにする効果があると言われている。

シャルダンの作品

シャルダンの代表作には、<赤エイ>、<食前の祈り>、<働き者の母>などがある。これらの作品は、現在でも世界中の美術館に収蔵され、多くの人々に愛されている。